研究会の名称
環境物質科学研究会
研究会連絡先(問い合わせ窓口)
氏名: | 岡田 京子 |
住所: | 〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1 |
電話: | 0791-58-0803, ext3892 |
email: | okada(at)spring8.or.jp |
研究分野
物質基礎 ・ 物質応用 ・ 計測
関連するビームライン
BL01B1, BL02B1, BL02B2, BL04B1, BL08W, BL13XU, BL14B2, BL19B2, BL27SU, BL37XU, BL39XU
研究会の概要、活動目標・目的
本研究会は、SPring-8/SPring-8-IIの硬X線と軟X線、およびナノテラスの軟X線を縦断的に活用し、様々な「環境物質」を多角的かつシームレスに分析・評価することを目的とした研究会です。地球表層から宙(そら=太陽系)に至るまでの物質循環の全容解明、さらには人間社会への還元を視野に入れた分野横断型の新しい物質科学を展開し、既成概念に捕らわれずに自由に科学研究を楽しむことを目指します。現象や実験データを演繹的にも帰納的にも追求し、世界をリードする独創的な研究に繋げます。放射光を使ったことがある方々も無い方々も歓迎します。科学は世界共通語、百年後の未来にもその成果と技術を志と共に伝承することを目標とします。
本研究会は、”科学の本質の追及および「環境物質」(マテリアル)の解明”が中心命題、信頼できるデータを取得する肝の場所がビームラインでそれを実現する大切な手段が分析手法、これを確実に実現する大事な機器類が各ビームラインの測定システムと検出器群である、というスタンスに立ちます。本研究会では、ナノレベルからミクロレベルの深さ分解と高エネルギー分解能での元素別の化学状態分析と構造分析を3次元で進めます。測定対象として想定しているカテゴリーは今迄なかなか測定できなかった試料、例えば多元素からなる複雑な3次元構造を持つ機能性物体、絶縁体、粘土鉱物などのウエットな試料です。マテリアルの機能と特性の解明のために最適な手法(参考:https://new.spring8.or.jp/index.php/2020-12-21-05-29-40/2022-01-27-06-00-47)とX線のエネルギーとサイズと強度を選んで観測します。将来的にはオペランド測定も目指します。
本研究会では分析手法と検出器の高度化を議論し、実現に向けて行動します。例えば、エネルギー分解能がSDDよりも高くてTESと同等以上、1万画素以上で放射光のハイフラックスに対応でき、ホウ素もしくはカーボンより上の元素をごく微量でも測定できる検出器を使用する新しい高エネルギー分解蛍光検出(HERFD)-XANESの提案を行うこと、などが挙げられます。特に軟X線領域では、走査型および結像型の顕微鏡の応用研究を進める一方で、絶縁体及びウエットな試料に対し、50-100 μmのマイクロビームマッピングを使用して、非破壊で同じ試料で同じ場所で、表面とバルクの両方で、軽い元素(B, C, O, F, Na, Mg, Al, Si, Ca etc)の化学状態の3次元の深さ分解・界面分析も行う差動排気システムを使う新しい軟X線分析の提案も行います。硬X線領域では、蛍光X線の高エネルギー分解能な検出を基盤にした微量元素の超高感度なX線分析や様々な元素・吸収端へのHERFD-XANESの応用研究を推進します。他の手法でも新たな測定法に果敢に挑戦して新たな科学の地平線を切り開きます。また、合理的な自動化やリモート測定やAIによる効率的な測定と解析を提案します。さらにはビッグデータの有効活用も取り入れながら、構造・化学情報と物性・機能との相関、物理基礎過程の解明も提案します。
本研究会ではSPring-8/SPring-8-II/ナノテラスのメリットと課題を理解し、共有し、成果の最大化と共に新分野の創出と新規ユーザーの獲得を目指します。複数のビームラインと複数の分析手法を横断的に使うメンバーが殆どであると予想されるので、具体的な活動としては、 最初の2年間は以下の4点を考えています。(1)科学テーマや測定手法に関する議論、計測法の高度化・合理化を議論し、発信する研究会の開催、(2)信頼できるデータの取得法と科学解析の基礎を発信するSPring-8研修会の開催(複数ビームライン、複数手法(3)SPring-8のBL再編の希望の取りまとめ:マテリアル特性と測定環境も考慮するにはどうしたら良いかの希望出しと議論、(4)国際的かつ学際的な研究フレームの構築。