研究会の名称
X線トポグラフィ研究会
研究会連絡先(問い合わせ窓口)
氏名: | 梶原 堅太郎 |
住所: | 〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1 |
電話: | 0791-58-0802 ext.3945(PHS) |
email: | kajiwara (at) spring8.or.jp |
研究分野
計測
関連するビームライン
BL08B2、BL19B2、BL20B2、BL24XU、BL28B2
研究会の概要、活動目標・目的
X線トポグラフィ研究会では、結晶性物質中の高次構造の実空間分布をX線の回折・散乱現象を利用して可視化する技術の開発・改良とその利活用に関する科学・関連工学を探求することを目的とする.
先端的X線トポグラフィ技術の開発においてはSPring-8シンクロトロン放射光の大強度,高輝度,高エネルギー,高干渉性などの特徴を十分に生かし,空間分解能,実時間観察の時間分解能,コントラスト比の飛躍的向上を目指す.開発された技術・手法の適用範囲を従来観察評価が困難であったようなものへと格段に広げる.
新たに開発された回折イメージング技法の適用範囲拡大においては,各種無機および有機人工結晶,人工多層膜,人工不均一構造の評価だけではなく,電子デバイスなどの内部に存在する格子欠陥や格子ひずみを非破壊的に観測し,デバイス特性の最適化・高性能化に資することなどを通して,産業利用を志向するグループとの連携・共同を強化する.X線トポグラフィ及び関連技術に関する最新情報の交換と新規アイデアの醸成を目的とした研究会会合を企画立案・開催する.
また、SPring-8-IIだけでなく、他の放射光施設のアップグレードや次世代放射光施設の建設が進められており、SPring-8のユーザーグループとしてだけでなく、Photon Factoryなどの他の放射光施設のユーザーとも連携し、これら放射光施設への提言を行い、X線トポグラフィ技術の発展を目指す.
第6期では共用ビームラインへのハイスループットのX線トポグラフィ測定システムの導入を提案する。SPring-8は、世界最高性能の放射光施設としてこれまでに様々な分野で大きな成果を上げてきた。さらに、持続可能な開発目標(SDGs)や2050年カーボンニュートラルの実現に向けた産官学利用者の研究開発活動を従来に増して強力に支援し、日本のこれからの発展に貢献することを目指している。2021年8月23日には関係省庁らにより策定されたグリーン成長戦略に示された14分野全てに対して、産官学利用者へのより一層の支援を目的としてグリーンファシリティ宣言を行っている[1]。
[1]http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2021/210823/
このような背景のもと、SPring-8-IIの加速器更新に先行して、ビームラインのアップグレードが進められており、そこでは、Production、Specific、Developmentの3つのカテゴリをポートフォリオとして設定し、SPring-8総体としてのパフォーマンス向上を目指している。特にオートメーション、ハイスループットを特徴とするProductionは、目安としてビームラインの60%が属することが示されており、産官学利用者へのより一層の支援を担うものと期待される。
X線トポグラフィ研究会ではこれらの目標の実現に向けた活動を推進するために、ハイスループットのX線トポグラフィ測定システムの共用ビームラインへの導入を提案する。X線トポグラフィは、単結晶中の結晶欠陥の実空間分布を非破壊で可視化する技術であり、特に近年ではSiC、GaN、Ga2O3、ダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体の結晶評価に広く利用され、その重要性は今後さらに増していくと考えられる。これらの半導体は電力の変換と制御を担うパワーデバイスとして用いられ、その性能向上がエネルギーの利用効率の大幅な向上を実現する。グリーン成長戦略に示された14分野ほぼ全てに貢献するデバイスであり、その利活用はグリーン成長戦略の推進を加速する。
ハイスループット装置として実績のある実験室系X線トポグラフィ測定システムをベースに放射光用にチューンアップすることを検討する。広視野と高分解能の2つのX線カメラの自動切り替え機構を有し、各種サイズのウェーハからミリサイズのチップ形状、不定形状まで対応可能で、自動湾曲補正機構により湾曲した結晶でも自動で対応でき、結晶欠陥自動解析ソフトウェアを有する。また、透過と反射配置も自動で切り替えることができ、3次元のセクショントポグラフの測定機構も有する。これらの特徴を維持しつつ、放射光利用によるさらなる性能向上の実現を検討する。