SPring-8ユーザ協同体(SPRUC)研究会

研究会の名称

表面界面・薄膜ナノ構造研究会

研究会連絡先(問い合わせ窓口)
氏名: 田尻 寛男
住所: 〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
電話 / FAX: 0791-58-0802 内線3443/0791-58-0830
e-mail: tajiri(at) spring8.or.jp

研究会の活動目標・目的

 本研究会では、固体表面界面や、そこに生成する低次元物質の構造や物性を研究対象とする。具体的には、よく規定された金属、半導体結晶のみならず、酸化物結晶、有機結晶、触媒の表面層やその上に成長した薄膜、ナノスケール・デバイス材料などがこれにあたる。このような研究対象に対して、X線の回折・散乱現象を利用してその構造を原子レベルの分解能で評価・解析するSPring-8利用者からなる研究会である。主たる測定手法は、微小角入射X線回折法と結晶裁断ロッド(CTR)散乱法からなる、いわゆる表面X線回折法、および反射率法、マイクロビーム回折法、X線定在波法である。
 従来の構造解析手法の高度化や、得られる構造情報の質的革新をもたらす新しい計測法の実現に取り組むとともに、新しい表面現象の発見や表面界面機能の解明を通じて表面界面構造物性分野を牽引していくことを目標とする。たとえば、従来の静的な構造解析にとどまらない、ナノ秒スケールの時間分解計測法の汎用的な利用体制の確立、SPring-8の特長の一つである輝度の高い高エネルギーX線の積極的利用などがある。さらには、電子線回折のごとく表面回折・散乱信号を回折パターンとして二次元検出器で一度に計測する方式の精密・迅速計測が実現できれば、これまで現実的なビームタイムでは実現不可能であった準安定相の構造解析や表面相転移に伴う転移点近傍の微少な構造変化を原子レベルの高分解能で詳細に観察できるようになる。
 当該分野で期待される先端的研究、たとえば、表面磁性や表面フォノン、表面反応ダイナミクスなどのX線回折・散乱による観察について、研究交流を通じた意見交換や議論を交わしながら研究環境を順次整え、先駆的成果を挙げていくことを目指す。これらの研究を推進するために、表面回折分野に最適な光学系や実験装置を検討し、研究会として提言するとともに、関連ビームラインにて実現したい。具体的には、高フラックス化を目的としたワイドバンド分光器、空間コヒーレンス保存のためのウィンドウレス光学系等が考えられる。
 さらに、近い将来に実現することが期待される次世代光源SPring-8IIでは、コヒーレント光やナノ集光ビームおよび、バンチスライス法によるフェムト・ピコ秒ビーム等多彩なビームが高輝度で利用できる。これらの諸ビーム性能について理解を深め、これら性能を今後どのように表面回折分野で利用していくか議論し、意見をまとめ上げたい。


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