SPring-8ユーザ協同体(SPRUC)研究会

研究会の名称

X線スペクトロスコピー利用研究会

研究会連絡先(問い合わせ窓口)
氏名: 山本 孝
住所: 〒770-8502 徳島市南常三島町1−1
電話 / FAX: 電話番号/FAX番号:088-656-7263/088-656-7263
e-mail: t-yamamo( at )ias.tokushima-u.ac.jp

研究会の概要、活動目標・目的

 放射光を利用したX線微細構造法(XAFS法)および蛍光X線分析などからなるX線スペクトロスコピーは、固体物性、材料開発、触媒研究、環境科学・地球科学などの極めて幅広い分野において、汎用性の高い必須な研究手法となっている。このような成熟した手法では、手法開発よりも応用研究に重点があるため、X線スペクトロスコピーの利用者は極めて多彩な分野に属する研究者の集団となっている。そのような場合、SPring-8でのX線スペクトロスコピー分析そのものは各研究者それぞれにとってのルーチン的な手法となってしまい、より高度な分析法が開発されても、それを知らずに各々の研究に取り組んでいる場合も少なくない。また、SPring-8の各ビームラインの性能や使い勝手が向上しており、さらに深さ分解XAFS・ミリ秒Quick XAFS・100 nm空間分解顕微XAFSといった新しい測定手法も開発されており、測定・応用法は日進月歩である。以上のことから、SPring-8の最新技術に関してタイムリーな情報を得ることは、利用者がそれぞれの分野で最先端の研究を行う上で、重要な役割を果たす可能性がある。特にSPring-8では、X線スペクトロスコピー研究を行っているビームラインが、BL01B1(汎用、深さ分解及びQuick XAFS)、BL14B2(産業利用主体の汎用及びQuick XAFS)、BL28B2(時分割XAFS)、BL37XU(マイクロビーム蛍光分析、深さ分解XAFS、高輝度光利用XAFS)、BL39XU(偏光利用XAFS,寿命フリーXAFS)、BL40XU(ミリ秒Quick XAFS)など極めて多岐に渡っており、各ビームラインで展開されている手法の全てを把握し有効利用している利用者の比率は高くないと思われ、SPring-8内部スタッフからユーザーへの定期的な情報提供は非常に重要である。
 一方で、これまで未開拓の分野にX線スペクトロスコピーを応用していくことは、全く新しいサイエンスの展開を促す可能性がある。そのためには、頻繁に施設を利用する研究者が常に新しいサイエンスを行うと同時に、新規分野へのX線スペクトロスコピーの利用法を最適化していく必要がある。そのためには、利用研究者からSPring-8内部スタッフへの働きかけが非常に重要であり、こうした交流が新たな技術を育み、SPrng-8発の先端的研究を生み出すもうひとつの原動力となり得る。

  1. 種々のX線スペクトロスコピー研究の実験手法および解析法の普及を行う。例えばSPring-8内部スタッフの努力により近年発展しているマイクロ/ナノビーム法、深さ分解XAFSや高速QXAFS法、他の分析手法との同時計測などは、新たなX線スペクトロスコピー利用研究を生み出す可能性が高い。
  2. 試料調製法や特殊な分析法などに関するノウハウを利用研究者間で共有し、それぞれの研究の発展に寄与する。例えばガスラインを用いるin situ XAFS測定やマイクロ/ナノビームの利用などでは、装置まわりのセッティングや試料に最適化した調製法の習得が必要である。
  3. 既存あるいはこれからSPring-8を使おうとするユーザーの要望を取りまとめ、施設側へ働きかける。例えばこれまで、蛍光分光XAFS法の応用などがこのような働きかけから実現している。
  4. X線スペクトロスコピーに近い分野に限らず,異分野の研究者との交流を持ち、境界領域の研究の発展を促す。XANESやEXAFSの解析など、理論的な解析を必要とする分野について、関連する研究者との交流を促進する。

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