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「SPRUC 2014 Young Scientist Award」の受賞者の決定について

SPring-8ユーザー協同体
会長 高原 淳
SPRUC 2014 Young Scientist Award 選考委員会
委員長 水木 純一郎

2014年度に募集しておりました「SPRUC 2014 Young Scientist Award (YSA)」には、締切までに12件の応募がありました。

YSAは、SPring-8の利用法や解析手法の開発に顕著な成果を創出した若手研究者、あるいは測定手法や解析手法は確立された方法であったとしても、SPring-8の特徴を活用し測定対象の分野にとって顕著な成果を創出した若手研究者に与えられる賞です。

このような観点から、SPRUC 2014 Young Scientist Award選考委員会において厳正な審査を行った結果、下記の2名の受賞者が決定しました。

受賞者 野村 龍一(NOMURA Ryuichi)/ 東京工業大学 理工学研究科
研究テーマ 高圧高温その場X線ラミノグラフィーで切り拓く新しい超高圧地球科学
受賞理由 SPring-8の複数のビームラインにおける最先端の装置群を駆使して、それらの性能や特徴を最大限に引き出し、地球深部物質の超高圧高温下における振る舞いについていくつものきわめて重要な新しい知見を得ることに成功している。たとえば超高圧高温実験の微小な回収物質をトモグラフィーで観察し、それまできわめて困難だった多成分系の超高圧下における融解温度を精密に決めたこと、あるいは融解物質中の鉄のスピン状態を明らかにし、メルト中に鉄が濃縮することとそのメカニズムを解明したこと、などである。これらの結果は国際的に評価の高い学術誌に第一著者として発表されており、今後の活躍が期待される若手研究者である。
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受賞者 西増 弘志(NISHIMASU Hiroshi)/ 東京大学大学院 理学研究科
研究テーマ CRISPR-Casヌクレアーゼの結晶構造
受賞理由 受賞者は、2年間にRNA依存性DNAエンドヌクレアーゼCas9およびZucchiniエンドヌクレアーゼの構造解析に成功し、筆頭著者として、その成果をCellおよびNatureといったトップジャーナルに発表した。いずれの研究も、近年発見され注目されている新しい生物学上の概念をサポートするテーマとして激しい競争にあるが、卓越した試料調製・結晶化技術に加え、SPring-8の誇るタンパク質構造解析ビームラインの高輝度特性をフルに生かすことで、短期間で構造解析を成功に導いている。これらの成果は、研究者としての高い能力を示しており、将来が期待される若手研究者である。
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