2014年度第1回高分子科学研究会のお知らせ


日時・場所
2014年7月31日(木)午後1時半〜午後5時半
SPring-8 中央管理棟1階会議室

目的
高分子科学研究会では、放射光を用いた高分子分野の研究推進を目指して様々の観点から可能性を探っている。今回、高速に変化する構造変化を如何に捉えるかに焦点を絞った内容での研究会を開催する。高分子科学分野においても、重合反応や結晶化現象、相転移現象を従来よりも更に短いタイムスケールで追跡していくことが要求されるようになってきた。特に、ソフトマテリアルの専用ビームラインでの新しい実験テーマとしても、今後積極的に検討していくべきものと位置づけられる。この研究会は、良い機会である。

プログラム
  1. 午後1時30分〜2時30分  兵庫県立大学 物質理学研究科光物性学分野 教授 田中 義人先生
    「放射光時間分解X線回折法を用いた高速相変化材料の動的構造測定」
    高輝度放射光施設やX線自由電子レーザー施設で、大強度パルスX線を利用することによって、高時間分解能でのX線回折測定が可能になった。要求される時間分解能と、利用すべき光源および測定手法の対応を示すともに、これまで、我々が行ってきた高速相変化材料の動的構造測定や、半導体材料における格子ダイナミクス測定の例を紹介する。

  2. 午後2時30分〜3時30分  日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究センター 副主任研究員 松村大樹先生
    「分散型光学系を用いたX線吸収分光による化学反応の実時間分割観測」
    X線吸収分光法は元素選択性と局所構造敏感という特徴と共に、Photon-in Photon-outの特性を持った手法であるから、「その場」観測に対して適した手法である。時間発展系への適用という観点からは、分散型光学系を用いてX線吸収分光測定に必要なエネルギーを持ったX線を一度に取り出すというやり方があり、SPring-8 BL14B1、BL28B2にて本光学系を用いた数Hzレベルの実時間分割X線吸収分光測定がいくつか行われている。本発表では、金属微粒子や触媒などの応用例をいくつか紹介するなかで、新たな適用可能性を探る機会になればと考えている。

  3. 午後3時40分〜4時40分  電気通信大学燃料電池イノベーション研究センター 特任助教 関澤央輝先生
    「固体高分子形燃料電池触媒のIn-situ時間分解XAFS解析」
    固体高分子型燃料電池実用化への課題としてカソードPt触媒の利用率向上や燃料電池使用条件での活性金属種の溶解による触媒劣化の解決が求められている。本研究では、Pt/C触媒及びPt3Co/Cカソード触媒について、燃料電池運転条件下での電子状態及び触媒金属種の局所配位構造の変化を、in-situ時間分解XAFS法により明らかにすることを試みた。

  4. 午後4時40分〜5時30分
    今後の高分子科学研究における時間分解測定とSPring-8の利用(討論)
連絡先
豊田工業大学極限材料専攻  田代孝二(高分子科学研究会代表)