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SPring-8ユーザ協同体(SPRUC)研究会 |
研究会の名称 キラル磁性・マルチフェロイックス研究会 代表者、副代表者
研究会の概要、活動目標・目的 物質が示す旋光性は、光が横波であることに起因する極めて直接的・基礎的な偏光現象である。現在活用されている液晶や光通信などだけでなく、スピントロニクスや量子暗号通信などの最先端技術においても光の偏光制御が重要な鍵を握っている。ふつう単に旋光性という場合はキラルな結晶構造に由来する光学活性をさすが、ファラデー回転など物質の磁化によって生じる旋光性も知られている。両者の違いは、空間反転対称性の破れと時間反転対称性の破れの違いとして理解され、これまで別々の研究対象とされてきた。そのような状況において、空間反転対称性と時間反転対称性が同時に破れた際に期待される新奇な磁気光学効果に関する研究、或いは、誘電性と磁性の交差相関により発現するエキゾチックな電気磁気物性に関する研究が現在急速に進展しつつある。 放射光の優れた偏光特性は、極めて強力で直接的なキラリティのプローブとして活用することが可能であり、キラル磁性・マルチフェロイックス研究におけるSPring-8の役割は今後飛躍的に増大していくものと期待される。放射光を利用した磁気物性測定技術としては、元素選択的な情報が得られる磁気分光実験や磁性電子の運動量密度分布の情報が得られる磁気コンプトン散乱実験等があるが、磁気回折実験を主たる実験技術とした放射光磁性研究の推進を目的として本研究会を組織する。本研究会はSPring-8を利用して下記の研究分野の実験・研究を行なう研究者・大学院生の参加により運営される。 (1)キラル磁性体 結晶構造または磁気構造あるいは両者がキラルな磁性体の研究 本研究会は、上記のサイエンス・実験技術に関心を持つ研究者間においての情報交換・研究協力を促進し、SPring-8を利用した研究成果の質・量の向上を図ることを活動目的とする。また、他の研究会とも連携し、新規ユーザーの開拓や測定技術の移転を通してSPring-8の利用促進に寄与する。SPring-8におけるキラル磁性および関連分野研究の中心的役割を担うべく、ユーザーの利用動向調査、測定装置に関する提言、外部資金の獲得、研究会の定期的な開催、関連学会等での情報発信を行なう。 |