トピックス
(1) 加速管の精密温度制御
1. 精密温度制御の必要性
加速管に平均25MWのマイクロ波が供給されると、そのエネルギーはビームの加速に使用されるが、損失分の一部が加速管壁面温度を上昇させる。その結果、加速管の寸法変化が起こり周波数のズレを発生させ、加速管の加速性能に大きな影響を及ぼすことになる。そこで、加速管壁面全体を均一に、かつ、温度を精密に制御する必要がある。
加速管に冷却水を一方向から流すと加速管軸方向に温度勾配が発生する。(加速管が長くなるほどこの傾向が高い。)加速管外周面全体の温度勾配を平滑にするために、冷却水は加速管壁に設けられた8本(8パス)の冷却水通路を通り、冷却水往環を交互にかつ、冷却水の流れ方向が対向する方法が加速管壁面冷却に採用されている。
2. 加速管純水冷却系統(精密温調系統という)の温度制御概要
主として加速管で発生した熱は、冷却水(比抵抗値1MΩ・cm以上の純水)に移動し、次に熱交換器を介し冷水(25℃の工水)へと移動する。そして、冷凍機を介し冷却塔から大気へ放出される。16グループに分けられた個別の加速管等近傍で要求されている冷却水供給温度は目標温度±0.1℃である。従来の熱交換器の温度安定度は±0.3℃が限度であり、1回の温度制御では上記要求温度は達成できない。又、目標温度における最大温度変化幅を±0.1℃以内にするため±0.05℃以下の検出精度が温度検出器と温度変換器に要求された。
加速管純水冷却系統(精密温調系統という)では目標温度(27.5℃~30.0℃の可変)+温度偏差±0.1℃を達成するため、3段階の温度制御で温度偏差を小さく制御するように設計されている。第1ステップでは、①熱交換器を使用し、冷却水温度を目標温度-0.6±0.4℃に冷却制御する通常の冷却プロセスである。第2ステップで、②温調ヒーター(電気容量90KW)、第3ステップで、③16器の個別ヒーター(電気容量1~12KW)を使用し、それぞれ微少温度(最大0.3℃)を加熱制御し、最終的に16グループに分けられた加速管近傍(個別ヒーター出口)温度が目標温度±0.1℃に制御される。
冷却水温度を検出する測温抵抗体としては、分解能を上げるため一般的なJIS Pt100Ωに代わりJPt準拠の200Ωat0℃(校正精度±0.0022℃)の白金抵抗体を使用している。また、測温抵抗体と温度変換器を合わせた総合偏差は±0.03℃である。ここで言う精度とは精密さ及び正確さを言い、200Ωの測温抵抗体と温度変換器は計測結果の信頼性等を確保するため定期的に校正し、トレーサビリティを求めている。
(2) 静止形無効電力補償装置 (SVC)
電力系統における負荷変動や系統事故における無効電力の変化は、系統各所における電圧変動となり、許容値以上の電圧変動が生じると、機器の正常な運転を阻害したり、照明がちらついたり、いわゆるフリッカといったような悪影響を及ぼすことから、その対策として、無効電力補償装置が用いられる。
変電所においては、変動負荷による電圧フリッカの抑制、重負荷供給系統の電圧変動の抑制、系統安定度の向上および弱小交流系統に直流送電を適用した場合の電圧安定化などを目的として、無効電力を高速に制御できるSVCを適用し、電力系統の安定化制御機能を持たせている。
当該設備は、リアクトルに流れる電流を連続的に変化させて無効電力を調整する方式である。