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1999年07月16日
大阪大学核物理研究センター、レーザー電子光グループ(名古屋大学、山形大学、甲南大学及び京都大学等との共同研究グループ)、日本原子力研究所、先端基礎研究センターおよび高輝度光科学研究センターは、大型放射光施設(SPring-8)のレーザー電子光ビームライン(BL33LEP)で、世界最高の、24億電子ボルト(2.4 GeV)逆コンプトンガンマ線(レーザー電子光)ビームを発生することに成功した。
平成11年7月16日
大阪大学核物理研究センター
日本原子力研究所
(財)高輝度光科学研究センター
大阪大学核物理研究センター(センター長 永井泰樹)レーザー電子光グループ(名古屋大学、山形大学、甲南大学及び京都大学等との共同研究グループ)、日本原子力研究所(理事長 松浦祥次郎)先端基礎研究センターおよび(財)高輝度光科学研究センター(理事長 伊原義徳)は、平成11年7月1日、大型放射光施設(SPring-8)のレーザー電子光ビームライン(BL33LEP)で、24億電子ボルト(2.4 GeV)という世界最高エネルギーの逆コンプトンガンマ線(レーザー電子光)ビームを発生することに成功した。 逆コンプトンガンマ線とはレーザー光が高エネルギー電子ビームと正面衝突し、跳ね返された結果得られる高エネルギー光である。今回の実験では、80億電子ボルト(8 GeV)の蓄積電子ビームに紫外レーザー光を衝突させることにより、最高エネルギーが24億電子ボルトの逆コンプトンガンマ線が得られたことを確認した。これは照射したレーザー光のエネルギーが約10億倍増幅されたことに相当する。逆コンプトンガンマ線エネルギーとしては、これまで、フランスのGRAAL施設における16億電子ボルト(1.6 GeV)が最高であった。 この高エネルギー逆コンプトンガンマ線を原子核の標的に照射すると、いろいろな中間子が飛び出してくるが、これらの中間子放出の様子を精密に観測することにより、原子核中にあるクォークの振る舞いが明らかになり、核物理の研究に大きな貢献が期待されている。 今回の成果は、SPring-8の蓄積リングで細く絞られた高エネルギー大強度電子ビームが得られたこと(加速器技術)、大強度のレーザーが開発されたこと、および放射線測定技術が格段に進歩したことによって達成された。
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《参考資料》
図1 レーザー電子光(逆コンプトンガンマ線)のエネルギー分布
図2 逆コンプトンガンマ線の生成実験
図3 逆コンプトンガンマ線ビームの生成原理
図4 クォーク系核物理の研究
<本研究に関する問い合わせ先> (測定器に関する事項) 大阪大学 核物理研究センター 中野 貴志 E-mail: nakano@rcnp.osaka-u.ac.jp Tel:06-6879-8938/Fax:06-6879-8899
(レーザー光学系に関する事項) 日本原子力研究所 先端基礎研究センター 藤原 守 E-mail: fujiwara@rcnp.osaka-u.ac.jp Tel:06-6879-8914/Fax:06-6879-8899
(加速器技術に関する事項) (財)高輝度光科学研究センター 加速器部門 熊谷 教孝 Tel:0791-58-0861/Fax:0791-58-0870
<SPring-8についての問い合わせ先> (財)高輝度光科学研究センター 広報室 原 雅弘 E-mail:hara@spring8.or.jp Tel:0791-58-2785/Fax:0791-58-2786
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