薬剤分子が結合したヒト由来ホスホジエステラーゼ5の触媒ドメインの構造(プレスリリース)
- 公開日
- 2003年09月04日
- BL44B2(理研 物質科学)
平成15年9月4日
横浜市立大学
韓国科学技術院
クリスタルジェノミクス(株)
横浜市立大学は、韓国科学技術院、韓国ベンチャーのクリスタルジェノミクス(株)と共同で、バイアグラ結合タンパク質(ホスホジエステラーゼ5;PDE5)の立体構造を大型放射光施設(SPring-8) (理研構造生物学IIビームラインBL44B2)と韓国の放射光施設(PLS)を使って解析することに成功した。ホスホジエステラーゼ(PDEs)は、細胞内のセカンドメッセンジャーであるサイクリックAMPとサイクリックGMPを分解する酵素のスーパーファミリーである。さまざまな生理学的機能を持つサイクリックヌクレオチドを介したシグナル伝達の中心的な制御因子として、PDEsは心臓疾患、うつ病、喘息、炎症、勃起不全などの多様な病気の治療における薬剤ターゲットである。12のPDE遺伝子ファミリーのうち、cGMP特異的なPDE5は、ヒト海綿体組織で重要なcGMP加水分解活性を有する。この酵素は、勃起不全の治療に使われるクエン酸シルディナフィル(バイアグラ)やその他の類似薬剤のターゲットとして良く知られている。治療薬としてPDE選択的な阻害剤を緊急に開発する必要があるにも関わらず、現在のところcAMP特異的なPDE4の構造しか分かっていない。本研究で我々は、シルディナフィル、タダラフィル(シアリス)、そしてバルデナフィル(レビトラ)の3つの薬剤分子と複合体を形成したヒトPDE5の触媒ドメイン(残基537-860)の三次元構造を発表する。これらの構造により、優れた薬理学的特性を持つ強力かつ選択的なPDE阻害剤のデザインが可能となるであろう。この研究成果は、英国の学術誌Nature(9月4日号)に掲載された(結晶構造の画像が表紙を飾っています)。 (論文) |
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