大型放射光施設 SPring-8

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ごみ焼却時のダイオキシン類生成過程への一端を解明 - ダイオキシンを発生させないごみ焼却への道がひらける -(プレスリリース)

公開日
2005年10月21日
  • BL01B1(XAFS)
京都大学の高岡昌輝助教授らのグループは、ダイオキシン類の生成過程で起こっていると考えられている銅化合物の化学反応過程を、大型放射光施設(SPring-8)の放射光を用いた「その場観察」で解明することに成功した。

平成17年10月21日
京都大学
(財)高輝度光科学研究センター

 京都大学の高岡昌輝助教授らのグループは、ダイオキシン類の生成過程で起こっていると考えられている銅化合物の化学反応過程を、大型放射光施設(SPring-8)の放射光を用いた「その場観察」で解明することに成功しました。
 従来、ごみ焼却でのダイオキシン生成には銅などが関与していると推定されてきましたが、その具体的な役割は明らかになっていませんでした。
 今回、高岡助教授らのグループでは、ダイオキシン類がごみ焼却中に再合成される環境(300〜400℃)で、焼却飛灰中の銅化合物の変化をSPring-8XAFSビームラインBL01B1でのX線吸収微細構造(XAFS)分析でその場観察を行いました。その結果、ダイオキシン類の生成過程で起こっていると考えられている銅化合物の化学反応過程を捉えることに成功し、次の知見を得ることができました。

・ダイオキシン類が再合成される温度域(300℃前後)では、酸化雰囲気にもかかわらず銅化合物が還元され、塩化第一銅(CuCl)が生成した。
・この現象は実飛灰と模擬飛灰の1つで観察されたが、模擬飛灰によっては塩化第一銅(CuCl)が生成しないものもあった。
・従って、条件によっては、銅の触媒サイクルを断ち切り、銅の化学変化をコントロールすることにより、ダイオキシンの生成を抑制できる可能性がひらけたといえる。

 今後さらに模擬飛灰などでの実験を重ねて銅の化学変化とダイオキシン類の生成量との関係についてデータを積み重ねることによって、抜本的なダイオキシン生成抑制法の開発につながるものと期待されます。
 この成果は、10月21日に京都大学で開催される<X線分析討論会で報告されます。

(学会発表)
「ごみ焼却に伴うダイオキシン類生成における飛灰中銅の役割」
高岡昌輝
第41回X線分析討論会(2005年10月21日、京都大学福井謙一記念研究センター)



<参考資料>

図1 ダイオキシン類がごみ焼却中に再合成される環境(300〜400℃)での焼却飛灰中の銅化合物の変化
図1 ダイオキシン類がごみ焼却中に再合成される環境(300∼400°C)での焼却飛灰中の銅化合物の変化

red.png1価の銅化合物   green.png2価の銅化合物

 


 

<本研究に関する問い合わせ先>
京都大学工学研究科都市環境工学専攻
  助教授  高岡 昌輝
 Tel:075-753-5162/Fax:075-753-5170
 E-mail:takaoka@epsehost.env.kyoto-u.ac.jp

<SPring-8についての問い合わせ先>
(財)高輝度光科学研究センター
  広報室  原 雅弘
 Tel:0791-58-2785/Fax:0791-58-2786
 E-mail:hara@spring8.or.jp

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