「SPring-8産業利用ビームラインにおけるXAFS測定代行」の本格運用開始について(プレスリリース)
- 公開日
- 2008年06月25日
- BL14B2(産業利用II)
平成20年6月25日
財団法人高輝度光科学研究センター
本発表のポイント
○ SPring-8※1の利用支援スタッフが、ユーザーに代わってSPring-8を利用した測定を行う。
○ 企業内に専門スタッフを確保することが困難な中堅企業等の利便性拡大や即時利用ニーズへの対応を図る。
○ 現在試行的に運用を開始しているが、平成20年10月より、本格運用に移行する。
登録施設利用促進機関※2である財団法人高輝度光科学研究センター(吉良爽理事長、以下「JASRI」)は、平成20年10月から、大型放射光施設「SPring-8」を利用して、施設の利用支援スタッフが、ユーザーに代わってSPring-8を利用した測定を行う「測定代行」の本格運用を開始します。 |
〈用語解説〉
※ 1 大型放射光施設SPring-8
独立行政法人理化学研究所(以下「理研」)が所有する、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す施設。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来します。放射光(シンクロトロン放射光)とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げたときに発生する、細く強力な電磁波のこと。
※ 2 登録施設利用促進機関
「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」(平成6年法律第78号)に基づき、利用促進業務(1 利用者選定業務、2 利用者支援業務)を実施する機関をいいます。
JASRIは、大型放射光施設「SPring-8」の登録施設利用促進機関として当該業務を実施しています。
ビームラインの概要 (詳細情報はこちら) |
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本ビームラインは広範な産業利用ニーズに応え、効率的な利用によって産業界の利用拡大を主な目的とした汎用的な偏向電磁石ビームラインです。本ビームラインの実験ハッチは、光学ハッチから飛び地の格好で下流側に設置されています。実験ハッチは光源から56m下流に位置し、ハッチのサイズは6m(ビーム方向)×3.75m(W)×3.3m(H)となっています。実験ハッチにはXAFS測定装置が設置されています。(理研が一般利用に供している共用ビームライン26本のうちの1本) |
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研究分野 |
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● 広帯域XAFS測定(3.8-72keV) |
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下記以外の元素も含め軽元素を除くほとんどすべての元素の分析が可能 |
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● 希薄・薄膜試料のXAFS測定 |
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・6価クロム、砒素、鉛、カドミウムなど有害物質の極微量(ppmオーダー)分析 |
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XAFS測定装置
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※ 4 XAFS
XAFSとはX-ray Absorption Fine Structureの略称で、日本語ではX線吸収微細構造と呼ばれています。
すべての物質は、原子構造を反映したX線の吸収現象を示します。その吸収量を精密に捉えることによって、物質の構造情報を得ることができるX線分光法です。
※ 5 成果専有時期指定課題
SPring-8の利用には、成果専有利用と成果非専有利用の2つの利用形態があります。
成果専有利用は、成果公開の義務がない利用形態です。審査も簡略化されますが、成果公開の義務がない代わりに、利用時間に応じたビーム使用料が課せられます。実験内容あるいは試料等に機密情報が含まれる場合等に利用されています。
成果専有時期指定課題とは、成果専有利用課題のうち、申請時に利用希望時期を指定できる課題です。ただし、通常の成果専有利用の5割増のビーム使用料が加算されます。利用希望時期を踏まえて、申請された課題は迅速な審査が行われます。
(問い合わせ先) (測定代行に関する事項) (課題募集に関する事項) |
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