大型放射光施設 SPring-8

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松田康弘准教授(東京大学物性研究所)が第30回本多記念研究奨励賞を受賞(トピック)

公開日
2009年04月08日
  • 受賞

わが国の物理冶金学の創始者である本多光太郎博士の名を冠したこの賞は、理工学特に金属及びその周辺材料に関連する優れた研究を行った者で、将来の発展を期待できる若い研究者に授与される賞です。1980年の創設以来毎年3名程度が選ばれます。今回の受賞式は2009年5月8日。

受賞者(所属):
松田康弘(東京大学物性研究所)

研究業績:
強磁場X線分光法の開発と磁性研究への応用
Development of techniques for high-magnetic-field X-ray spectroscopy and its application to research of magnetism

研究内容:
独自開発の超小型パルス強磁場装置とSPring-8の高輝度X線を組み合わせ、40万ガウス(40テスラ)以上の強磁場中でのX線分光を世界に先駆けて実現させた。また、その技術を化合物磁性体に応用し、希土類イオンの価数揺動現象など磁場中の特異な電子状態を初めて明らかにすることに成功した。従来の技術ではX線分光は10テスラ以下の磁場でしか行うことが出来ず、相関の強い磁性体を磁場により制御することは困難であったため、磁場中の電子状態は未解明の問題として残されていた。強磁場X線分光により磁性体の電子状態研究が飛躍的に発展する事が期待される。

受賞理由:
松田准教授はパルス強磁場発生に関する豊富な経験を活かし、あらたに放射光実験に適したコンパクトなパルス磁場発生装置を開発することで、様々な磁性体の強磁場中における性質をX線分光法によって明らかにした。これらの先駆的研究が磁性研究の発展に貢献したことが高く評価された。

(注)パルス強磁場:瞬間的(1/1000秒程度)に発生する非常に強力な磁界。