青山学院大学長谷川美貴教授が平成23年度日本希土類学会奨励賞(足立賞)を受賞(トピック)
- 公開日
- 2011年05月18日
- 受賞
日本希土類学会は、昨今国際的な話題となっている希土類(レアアース)元素に関する科学と技術を進歩向上させるための学会です。本学会は、希土類の基礎研究、応用研究および技術開発の発展を願って、希土類討論会、またはこれに準ずる会にて発表されたすぐれた研究を行った若手研究者に対して、日本希土類学会奨励賞(足立賞)を授与しています。SPring-8のユーザーである青山学院大学の長谷川美貴教授が、平成23年度の足立賞を受賞されました。
受賞者:
青山学院大学 理工学部 化学・生命科学科 教授 長谷川 美貴(はせがわ みき)
研究業績:
希土類錯体の分子内・分子間の構造とエネルギー状態の相関に関わる光化学研究
研究内容:
レアアースは、強磁性とレーザーなどに用いられるような鋭いピークの発光を示すことが知られている元素群です。長谷川教授らの研究は、このレアアースに有機分子を結合させた錯体を用い、有機分子からレアアースへのエネルギー移動を起こさせる原理を定量化し、さらにその分子性超薄膜を形成することで液体とも結晶とも異なる奇異な環境を作り出し、偏光発光を示す材料の開発を行っています。分子内のエネルギー移動が高効率で行われるための、有機分子部位とレアアースの間のスピンの状態を発光スペクトルから明らかにする方法論を見出すこと、またサンドイッチ型で有機分子とレアアースを積み重ねた分子膜にすることで偏光性の発光を促す構造体の仕組みを明らかにしてきました。特に偏光発光膜の構造はSPring-8のビームライン(BL02B2、BL01B1、BL39XU)を用いることで初めて明らかにすることができました。
受賞理由:
一連のレアアース群は、発光だけでなく磁性や伝導性なども固体(固い)状態での機能が重視されています。長谷川教授はレアアースの発光に焦点をあて、錯体化学と光化学の境界領域を切り拓くことで、溶液や高分子などソフトな状態での機能へも未来材料としてのレアアースの可能性を示唆する結果を示しています。今回は、特に独創的な方法を用いた希土類錯体の光機能の原理解明と分子設計指針に関わる研究が高く評価されました。
今中信人日本希土類学会会長(大阪大学教授;左)から賞状を授与される
長谷川教授(2011年5月12日、タワーホール船堀(東京)にて)
足立賞を設置された足立吟也先生(大阪大学名誉教授・元日本希土類学会会長;左)と
長谷川教授(2011年5月12日、タワーホール船堀(東京)にて)
長谷川教授の受賞講演(2011年5月13日、タワーホール船堀(東京)にて)
関連リンク
・プレスリリース(2007年7月4日):セッケン分子と希土類金属から新しいディスプレイ材料開発の可能性 - 分子から成る偏光発光素子の仕組みを世界で初めて解明 -
・SPring-8 News 38号:「偏光」を発するディスプレイ材料を開発
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