豊島近 東京大学教授(東京大学分子細胞生物学研究所)が紫綬褒章を受章(トピック)
- 公開日
- 2015年04月28日
- 受章
豊島近 東京大学教授(東京大学分子細胞生物学研究所)が、構造生物学に関する業績により平成27年春の科学技術に関する紫綬褒章を受章することが決定しました。伝達式は5月15日に行われる予定です。
受章者氏名(所属):
豊島 近(とよしま ちかし)(国立大学法人 東京大学 分子細胞生物学研究所 教授)
業 績:
豊島教授は長年構造生物学に関する研究に尽力され、特にSPring-8においてはX線結晶構造解析法を用いて、生体膜に埋め込まれたカルシウム輸送タンパク質や、ナトリウム・カリウム輸送タンパク質など、ATP(アデノシン三燐酸)の加水分解によって放出されるエネルギーを利用して濃度勾配に逆らってイオンを輸送するタンパク質の構造を、構造生物学IビームラインBL41XUを用い、原子レベルで明らかにしました。さらには、反応サイクル中の中間状態の構造を次々と決定し、濃度勾配に逆らったイオン輸送という複雑な動作を原子構造に基づいて説明する、画期的な研究を成し遂げました。これに加えて、重要な薬剤とこれらのタンパク質分子との結合を可視化することにも成功し、新薬剤開発への道を開きました。これらの研究業績は、Nature 誌などのトップジャーナルに数多くの論文として掲載されています。先生の研究内容の一端は、SPring-8 NEWS No. 52で「カルシウムポンプのダイナミックな構造変化を解明」として、またSPring-8 channelでも取り上げられています。
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