「先端構造解析とシミュレーション研究から生まれた最高グレード低燃費タイヤ」の地球環境技術賞受賞にSPring-8が貢献(トピック)
- 公開日
- 2017年12月05日
- BL03XU(フロンティアソフトマター開発産学連合)
- BL08W(高エネルギー非弾性散乱)
- BL20XU(医学・イメージングII)
- BL20B2(医学・イメージングI)
- BL27SU(軟X線光化学)
住友ゴム工業(株)の、先端構造解析とシミュレーション研究から生まれた最高グレード低燃費タイヤが、「2017年日経地球環境技術賞」において最優秀賞を受賞しました。 |
住友ゴム工業(株)の新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」※1は、低燃費・ウエットグリップ・耐摩耗性能という、相反性能であるタイヤの三大性能を高い次元で両立するために、大型放射光施設「SPring-8」※2、大強度陽子加速器施設「J-PARC」※3、スーパーコンピュータ「京」※4という世界最高レベルの先端大型研究施設の連携活用※5により、ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることを可能とする技術です。この技術を初めて採用した「先端構造解析とシミュレーション研究から生まれた最高グレード低燃費タイヤ」のDUNLOP「エナセーブ NEXT II ®」は、ラベリング制度における転がり抵抗性能とウエットグリップ性能の最高グレードである「AAA-a」を達成し、低燃費性能とグリップ性能を高次元で維持しながら耐摩耗性能を従来品から51%向上することに成功しました。
今回の受賞は、産学官連携による住友ゴム工業(株)の先端大型研究施設を連携活用した新材料開発における先進的な取り組みと、高い技術力によるものです。
先端大型研究施設の連携活用イメージ
※1新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」
2015年11月12日掲載のトピック:SPring-8・J-PARC・スーパーコンピュータ「京」を連携活用させたタイヤ用新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を確立 - 低燃費性能・グリップ性能に加え耐摩耗性能200%のタイヤ -
※2大型放射光施設「SPring-8」
兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、その運転と利用者支援などは高輝度光科学研究センター(JASRI)が行っている。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。
※3大強度陽子加速器施設「J-PARC」
最先端研究を行うための陽子加速器群と実験施設群(茨城県那珂郡東海村)
※4スーパーコンピュータ「京」
世界有数の計算速度を誇る、スーパーコンピュータ(兵庫県神戸市中央区)
※5連携利用について
「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」に基づく、特定放射光施設「SPring-8およびSACLA」、特定中性子線施設「J-PARC」および特定高速電子計算機施設「京」において、利用促進業務を行う登録機関(JASRI、CROSS、RIST)の3機関は、より効率的・効果的に当該業務を実施するため、平成24年6月に協力協定書を締結しました。本協力の一環として、2013A・B期において試行的にSPring-8とJ-PARC MLFの両施設を相補的に利用することを前提とした課題の募集をJASRI、CROSSそれぞれで行い、2014A期からは「京」が加わりました。2017A期からは新たに「SACLA」を加え、3機関・4施設でそれぞれの施設との連携利用を促進する課題を募集しています。
【問合せ先】 |
- 現在の記事
- 「先端構造解析とシミュレーション研究から生まれた最高グレード低燃費タイヤ」の地球環境技術賞受賞にSPring-8が貢献(トピック)