SPring-8・SACLA グリーンファシリティ宣言 -2050年カーボンニュートラルを実現する研究基盤施設として-(プレスリリース)
- 公開日
- 2021年08月23日
2021年8月23日
理化学研究所
高輝度光科学研究センター
理化学研究所(理研)放射光科学研究センターと高輝度光科学研究センター(JASRI)は、大型放射光施設「SPring-8」[1]およびX線自由電子レーザー施設「SACLA」[2]を、産官学におけるグリーンイノベーションを目指すさまざまな研究開発活動を一層推進するグリーンファシリティとすることを宣言します。 |
SPring-8(左:円形の施設)とSACLA(右:直線状の施設)
背景
大型放射光施設「SPring-8」およびX線自由電子レーザー施設「SACLA」は、ナノ(nm、1nmは10億分の1メートル)を見るための光を世界最高性能で産学官の利用者に提供してきました。ナノ領域での観察や制御は、カーボンニュートラルに資するグリーン分野において重要な研究開発要素であり、これまでにも蓄電池、燃料電池、触媒開発などで大きな成果を上げてきました。
そこで、持続可能な開発目標(SDGs)や2050年カーボンニュートラルの実現に向け、両施設が有する世界最高性能の光を、グリーン成長戦略[4]に示された各分野でお使いいただくとともに、グリーンイノベーションに資する新分野開拓のため、産官学利用者へのより一層の支援を目的として、このたびの宣言に至りました。
宣言
SPring-8およびSACLAでは、グリーン成長戦略に示された14分野全ての関連研究課題が実施されています(図)。グリーンイノベーションを目指すより多くの皆様が、課題解決の手段として両施設をご活用いただくことを願って、両施設をグリーンファシリティとすることを宣言します。
宣言 大型放射光施設「SPring-8」とX線自由電子レーザー施設「SACLA」は持続可能な開発目標(SDGs)や、2050年カーボンニュートラル達成に向けた産官学の研究開発活動を従来に増して強力に支援してまいります。
合わせて、施設自体も一層の省エネルギー化に向けての努力を進めてまいります。 |
図 SPring-8およびSACLAの利用課題とグリーン成長戦略14分野との関係
今後の期待
2050年カーボンニュートラルは、チャレンジングな目標であり、産官学が一丸となって取り組む必要があります。このたび、嚆矢としてグリーンファシリティ宣言を行いましたが、後に続く多数の同志の出現を期待しています。
今後の具体的な取り組みとして、研究集会の開催やグリーンイノベーションに貢献する利用支援などを計画しています。こうした活動を経て、同志の皆様と連携して2050年カーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションを推進します。
補足説明
[1] 大型放射光施設「SPring-8」
理研が所有する兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す大型放射光施設で、利用者支援等はJASRIが行っている。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeVの略。放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。
[2] X線自由電子レーザー施設「SACLA」
理研とJASRIが共同で建設した世界有数の最先端のX線自由電子レーザー施設。SPring-8 Angstrom Compact free electron LAserの略。
[3] 持続可能な開発目標(SDGs)
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴールから構成され、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる。
[4] 2050年カーボンニュートラル、グリーン成長戦略
2020年10月、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。これを踏まえ、2020年12月、関係省庁らは「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策としてグリーン成長政略を策定した。
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