カラコン印刷部の着色に使用する顔料が最表層に存在するレンズの識別法を開発 高分子専門学術誌「Polymer Journal」へ掲載(プレスリリース)
- 公開日
- 2024年02月16日
- BL46XU(HAXPES II)
元記事は、2024年2月16日 株式会社メニコン様 お知らせをご覧ください。
株式会社メニコン(本社:名古屋市中区葵三丁目21番19号、代表執行役社長COO:川浦康嗣)は、虹彩模様付きソフトコンタクトレンズ(以下、カラコン)の印刷層においてインクに含まれる顔料が最表面に存在するか否かを、簡便に識別する方法を確立したことをご案内いたします。
【論文情報】 |
カラコンは、視力補正に加え、より印象的な瞳を演出する製品として、若年層を中心に使用者が増加傾向にあります。
しかしながら、様々な課題が確認されており、
印刷に使用されるインク中の顔料成分がレンズ表面に露出した製品が一部存在し、瞼や角膜表面を傷つける危険性があることが報告※1されています。
これに対し、メニコンでは、2021年2月に
『透過型電子顕微鏡でのサークルレンズのサンドイッチ構造観察法 顕微鏡専門誌「Microscopy」に掲載』※2
においてご案内の通り、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用した印刷層における顔料の分布構造を観察する手法を開発し、その研究成果は、顕微鏡専門誌へ掲載されました。
また、TEMを用いた観察により、市販のカラコン製品の印刷層傾向を調査・分類した結果が、
コンタクトレンズ学会誌に掲載されています※3。
ただし、このTEMによる観察は、試料作成に高いスキルと、長い測定時間を必要とします。
そこでメニコンでは、コンタクトレンズの高い性能を実現する素材構造の研究に活用している
最先端研究施設(あいちシンクロトロン光センター(BL5S1)、大型放射光施設SPring-8(BL46XU))※4
を利用し、市販カラコン製品の印刷層に含まれる顔料成分の分析法の研究を行いました。
その結果、
X線吸収微細構造法(XAFS)※5
という手法を用い、特殊な光(放射光)を直接レンズに照射することで、最表層に存在する顔料元素を簡便に識別することに成功しました。
短時間での測定が可能なXAFS測定によるスクリーニングを行い、詳細な顔料位置を観察可能なTEMによる分析を併用することで、表面に顔料が集まるレンズを迅速かつ詳細に選別できるものと期待されます。
メニコンは、これからもこのような先端研究施設を積極的に活用し、高機能の製品開発・高品質の製造を目指すと共に、コンタクトレズユーザー並びに処方に関わる医療機関関係者に向け、安全にコンタクトレンズを使用していただくための情報を提供することで、“ずっと輝く瞳”に貢献していきます。
【用語説明】
※1.
植田 あたらしい眼科31(11):1569-1575,2014
https://mol.medicalonline.jp/archive/search?jo=ah9atgke&vo=31&nu=11
※2.
透過型電子顕微鏡でのサークルレンズのサンドイッチ構造観察法顕微鏡専門誌「Microscopy」に掲載
株式会社メニコン 2021年2月ニュース
および
「Microscopy」に掲載された論文
※3.
日本コンタクトレンズ学会誌 2021年63号 156–62頁
※4.
最先端研究施設(あいちシンクロトロン光センター(BL5S1)、大型放射光施設SPring-8(BL46XU))
SPring-8は、世界最高性能の放射光(荷電粒子が磁場で曲げられるとき、その進行方向に放射される電磁波)を利用することができる大型実験施設であり、国内外の研究者に広く開かれた共同利用施設として、物質科学・地球科学・生命科学・環境科学・産業利用などの分野で優れた研究成果をあげています。
※5.
X線吸収微細構造法(XAFS)
X線吸収微細構造法(XAFS):X線吸収分光の一種であり、元素選択的に価数や局所構造等の科学情報を得られる分析手法
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