大型放射光施設 SPring-8

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SPring-8セミナー(第146回)

副題/演題 XAFSと物質科学 -古くて新しい,誘電体,半導体,磁性体への応用-
開催期間 2005年10月17日
開催場所 萌光館
主催 (財)高輝度光科学研究センター
形式 レクチャー(講演)
分野 物質科学
概要

日   時 : 2005年10月17日 17:00-

講演者 : 宮永 崇史 教授
所   属 : 弘前大学 理工学部

講演要旨
  XAFS(X線吸収微細構造)は放射光源の発達にともなって物質構造研究の手法として発展してきた。応用が広がる一方で,その限界も明らかになってきた。XAFSの特徴はX線吸収によるスペクトルスコピーであることと,光電子の散乱による構造解析手法であることを合わせもつことであるが,そのことがかえって解析を複雑にしているともいえる。本発表では,このようなXAFSの特徴を利用した,(1)誘電体,(2)半導体,(3)磁性体などの物質構造およびダイナミクス解析において古くて新しい最近の研究例を紹介する。

(1)強誘電体の構造相転移は変位型と秩序-無秩序型に大別されるが,PbTiO3に対しXAFSによる局所構造解析を行ったところ,その両者の混在関係に  新しい知見を得た。変位型に由来する局所的な構造変化が見られると同時にXAFSの温度因子が発散するという,秩序-無秩序相転移に特徴的な振るまいも見られた。

(2)InGaN量子井戸型発光ダイオードは貫通転移が多いにもかかわらず発光効率が高いことが指摘されている。 この原因については諸説あるが,XAFSによりIn周囲の構造を調べることにより,発光効率とIn原子の濃度揺らぎの相関が見られた。

(3)Ni-Mn合金は規則-不規則型の転移を示す磁性合金として知られているが,最近GMRによりナノオーダーでの規則相による強磁性クラスターが存在することがわかってきた。これは,系全体のマクロな磁性研究に加えて,局所的なクラスター内の磁気構造を調べることの重要性を示している。磁気XAFS法を用いて,この強磁性クラスター内の局所的磁気構造を明らかにする。

問い合わせ先 藤森 伸一 (PHS 3914) 日本原子力研究開発機構
0791-58-2604

fujimori@spring8.or.jp
最終変更日 2009-05-27 12:36