大型放射光施設 SPring-8

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SPring-8セミナー(第147回)

副題/演題 南極氷床コアからさぐる超新星と太陽活動の履歴 ~SPring-8における実験の可能性~
開催期間 2005年10月19日
開催場所 上坪講堂
主催 (財)高輝度光科学研究センター
形式 レクチャー(講演)
分野 物質科学
概要

日   時 : 2005年10月19日 16:00-

講演者 : 望月 優子
所   属 : 理化学研究所 重イオン加速器科学研究プログラム

講演要旨
  南極の氷床コアは、その氷の中に雪が降った時代の大気中の成分を閉じこめている。その深度が深ければ深いほど地球の過去の年代に遡ることができる、いわばタイムカプセルである。国立極地研究所と理化学研究所は、南極氷床コアから過去の超新星爆発と太陽活動の歴史をさぐるという目的で、昨年度から共同研究を開始している。このほど、1000年前の氷床の硝酸イオン分析から、太陽黒点の11年周期を抽出することに初めて成功した。太陽の黒点の観測を人類で初めて行ったのは、ガレリオ・ガリレイで、1612年のことである。その後、18世紀初頭から望遠鏡で継続的に黒点の観測が行われるようになって、「11年周期」がみつかった。つまり太陽活動に周期性があることを人類が直接知っているのは過去300年についてのみのことであり、1000年前の氷床から同じように11年周期が見つかったことは、極めて意義ぶかい。過去の他の仕事から、氷床中の硝酸塩濃度が変動するのは、成層圏における太陽からのX線や軟γ線(10keV程度まで)の作用であると結論できる。ところが、現在までに、高層大気中におけるX線や軟γ線による硝酸生成反応はよく調べられていない。この講演では、氷床を用いてさらに過去に遡っていく可能性や超新星の研究への発展にも言及しながら、X線や軟γ線が高層大気中の窒素・酸素分子などの成分と反応し、硝酸にいたるメカニズムをSPring-8において検証できるかどうか考察する。

問い合わせ先 櫻井 吉晴 JASRI/利用研究促進部門
0791-58-2742

sakurai@spring8.or.jp
最終変更日 2006-04-08 15:47