温度・湿度変化に伴う多糖結晶の構造変化
京都大学 小林 加代子
セルロースやアミロースなど、グルコースやその他の単糖が連なって構成される高分子を多糖と呼び、これらは地球上に存在するバイオマスの大半を占めている。多糖は植物細胞壁におけるセルロースのように生物中で結晶性を持つものもあれば、同じく植物細胞壁に存在するヘミセルロースのように天然では結晶性を持たないが、抽出・再結晶化の過程を経てはじめて結晶性を示すような性質を持つものもある。従って天然の状態、応用的な局面のいずれにおいても多糖の結晶がどのような構造を持ち、また様々な条件下でどのような構造の変化を示すかを理解することは極めて重要である。
本研究では特に湿度や温度が変化することによって多糖の結晶構造がどのように変化するのかをX線回折測定によってモニタリングした。SPring-8で行った実験では高精度のデータが得られ、僅かに分子鎖間の距離が変化していく挙動や、ある条件に達すると構造が急激に変化する様子等が観測された。
β-1,3-グルカンの低温領域における結晶構造の変化
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