大型放射光施設 SPring-8

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成長応力とセルロースミクロフィブリル

京都大学生存圏研究所 杉山淳司

 樹体内には引張や圧縮の内部応力が発生しており、樹木の形態形成や姿勢を制御する因子として重要な役割を果たしている。樹体を風雪より守る、この絶妙な力学的バランスの源は、樹木繊維の細胞壁の微細構造と考えられている。本研究では、その応力が解放されたときのナノ領域の構造変化を検出するため、高輝度、高精度の放射光X線を利用した。実験はシンプルで、表面ひずみをモニターしたポプラの枝をビームラインに持ち込み、検出器をセルロース結晶の子午線反射(004)面の方位168センチ後方に設置した。このセッティングを用いて、応力解放前後の(004)面の間隔を正確に測定した。その結果、応力解放ひずみとセルロース結晶のひずみが同じ程度であり、ポプラの枝の上側のセルロースが引張られていることが判明した。

図 1
図 2

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