超高速・超低消費電力ICTの実現に向けた二次元電子系デバイスのオペランド顕微分光
東北大学 電気通信研究所 吹留 博一
日本国のGDPの一割を占める情報通信分野において、情報通信量の激増が危機的状況をもたらしている。伝送速度の高速化は、通信の大容量化と低消費電力化の双方を可能にする。この実現には、高周波数帯(ミリ波・テラヘルツ帯)の開拓が必要である。その開拓の為に、私は、二次元電子系(AlGaN/GaN、グラフェン)を活性層とした高速デバイスの研究開発を、デバイスメーカー・ウエハーメーカーとの産学連携で進めている。
ここで問題となるのが、「高品質な二次元電子系を作製したとしても、デバイス化をした際に、その優れた材料物性が最大限に発揮されない」点である。これは、この二次元電子系が、デバイス中の界面による電子変調を受け易い点に由来する。ゆえに、実際に動作しているデバイスの電子状態の微視的解明が必要となる。
本発表では、SPring-8で行った二次元電子系デバイスのオペランド顕微分光を述べ、更に、今後の研究の方向性についても述べる予定である。