大型放射光施設 SPring-8

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BL02B2 半導体検出器多連装型回折計

問い合わせ番号

INS-0000001575

 BL02B2の実験ハッチには、半導体検出器多連装型回折計が設置されており、検出器としてDECTRIS社製の一次元半導体検出器(MYTHEN)を2θ軸に多連装配置(6台)にしています(図1、表1)。MYTHEN検出器では、オンラインで数10ミリ秒以上の速度で回折データの読み取りが可能です。MYTHEN検出器を用いた粉末回折パターンの測定では、検出器間にギャップがあるため、異なる2θ角度で2回露光を行います(two-step mode;図2左図)。この場合、IP検出器と同程度の2θ領域の測定が可能です。一方、non-ambientな条件下で逐次、データの測定が必要な場合では、2θ軸を固定して一度に全回折パターンの測定(single-step mode;図2右図)を行うことも可能で、この場合は、2θ~35°までの角度領域を測定できます。上記、1次元半導体検出器に加えて、二次元フラットパネル検出器を利用することが可能です。

 試料の温度は、30 Kから1,073 Kまでの広い範囲で変える事が可能です。低温・高温窒素吹付装置は常設されており、試料温度を90 K ~ 1,100 Kまで連続的に制御することが可能です(図3)。なお、低温・高温窒素吹付装置のステージは電動化されており、低温・高温の切り替え時の装置の取り付け・取り外し作業は不要です。これらの温度制御システムは、LabVIEWにより作成した測定プログラムと組み合わせることにより、自動測定による温度変化の実験が可能です。90 K以下に冷却する場合は、Heガス吹付装置を用いて試料を冷却し測定します。上記、検出器システムとサンプルチェンジャを組み合わせることにより、最大50試料の自動測定が可能です。さらにクライオスタットを利用することで5 Kまでの低温実験が可能です。また、電気炉を利用することで、1,200℃までの高温環境の測定も可能です。

 多連装型半導体検出器システムと第三世代の高エネルギー放射光を最大限利用することによって、鉛のような重元素を含む化合物においても、優れた角度分解能の粉末回折データが高速に(数秒から数十秒)で測定できるようになっています。以上から、本ビームラインは、格子定数の測定から極限条件下での電子密度分布決定まで、非常に幅広い分野の構造研究を網羅できるようになっています。

    表1. 回折計の仕様

    多連装型半導体検出器システム
    MYTHEN検出器 サイズ(幅×長さ×厚み): 64×8×1 mm3
      カメラ半径 477.46mm
      測定範囲 2θ = 1 ~ 75°, 0.006°/step
    コリメータサイズ 0.1(縦) × 0.1(横) mm2 ∼ 0.7(縦) × 3.0(横) mm2

     
    図1. 実験ハッチに設置されている透過型粉末回折計。

    図1. 実験ハッチに設置されている透過型粉末回折計。

    図2. 一次元半導体検出器を用いた回折データの測定システム

    図2. 一次元半導体検出器を用いた回折データの測定システム

    図3.  温度変化用の各種吹付装置

    図3.  温度変化用の各種吹付装置

最終変更日