高圧ガラスの構造
問い合わせ番号
SOL-0000001279
ビームライン
BL04B1(高温高圧)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
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B. 試料詳細 | 絶縁体・セラミックス, 非晶質、ガラス |
C. 手法 | X線回折 |
D. 手法の詳細 | 粉末結晶構造解析 |
E. 付加的測定条件 | 高圧(大型プレス), 応力付加、変形, 高温(>>500度) |
F. エネルギー領域 | X線(>40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 構造解析, 構造変化, 相転移 |
産業利用キーワード
階層1 | 半導体, 工業材料 |
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階層2 | シリコン系半導体, 触媒, ガラス |
階層3 | ゲート絶縁膜, 層間絶縁膜, 容量膜 |
階層4 | 密度, 液体・非晶質構造, 原子間距離 |
階層5 | 回折 |
分類
A80.30 無機材料, M10.20 粉末結晶回折
利用事例本文
SiO2ガラスは、高密度ガラスなどのいくつかの多形があることが知られています。しかし、温度や圧力の変化によって、これらが相転移(1次相転移)するかどうかはよくわかっておりません。大容量高圧プレス装置、SPEED-1500を用いたエネルギー分散型X線回折は、高温高圧下のガラスや液体などの非晶質構造の変化を直接観察することができます。図に示すのは、SiO2ガラスの3.3 GPaと9.9 GPaでのX線構造因子、S(Q)の温度依存性です。ガラスの大きな密度変化は、中距離構造の変化が大きく寄与しており、S(Q)の第1ピーク(First sharp diffraction peak, FSDP)に変化が現れます。図で3.3 GPaでは温度に対してほとんどFSDPは変化していませんが、9.9 GPaでは大きく変化しています。この研究から、中距離構造が緩和されて高密度構造となる温度ー圧力領域が見つかりました。
図 3.3 GPaと9.9 GPaでのSiO2ガラスのX線構造因子、S(Q)の温度依存性
[ Y. Inamura, Y. Katayama, W. Utsumi and K. Funakoshi, Physical Review Letters 93, 015501 (2004), Fig. 3,
©2004 American Physical Society ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
Phys. Rev. Lett., 93, 015501(2004)
図番号
3
測定手法
図は、川井型大容量高圧プレス装置を用いたときのエネルギー分散型X線回折の概略です。偏向電磁石からの白色X線は、垂直、水平スリットによって典型的に0.05(垂直) x 0.1(水平) mm2に絞られます。エネルギー分散型X線回折用に、第1段アンビルにはX線が通る穴が開けられおり、白色X線はそこから第1段アンビルを抜けて、第2段アンビル間の水平方向の隙間を通り抜けます。高温高圧試料からの回折X線は、4096個のマルチチャンネルアナライザーを持つ純ゲルマニウム半導体検出器(SSD)で検出されます。このとき、20~150 keVまでエネルギーの回折データを得ることができます。ある回折角で固定されたコリメーター(0.05 mm幅)と受光スリットを通すことで、試料からの回折X線のみが検出されます。水平ゴニオメータは、0.0001°の精度で-10から23°までの回折角2θを移動できます。このシステムでは、だいたい数分間で1つの回折線を得ることができます。
図 川井型大容量高圧プレス装置を用いたエネルギー分散型X線回折の概略図
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BL評価レポート
ページ
14
測定準備に必要なおおよその時間
1 日
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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SPEED-1500 | 高温高圧実験 | 2500K、30 GPa |
参考文献
文献名 |
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Phys. Rev. Lett., 93, 015501(2004) |
関連する手法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
測定の難易度
中程度
データ解析の難易度
熟練が必要
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
4~9シフト