プレス揺動機構を用いた高温高圧実験
問い合わせ番号
SOL-0000001284
ビームライン
BL04B1(高温高圧)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料, 計測法、装置に関する研究 |
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B. 試料詳細 | 絶縁体・セラミックス, 結晶 |
C. 手法 | X線回折 |
D. 手法の詳細 | 粉末結晶構造解析 |
E. 付加的測定条件 | 高圧(大型プレス), 応力付加、変形, 高温(>>500度) |
F. エネルギー領域 | X線(>40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 構造解析, 構造変化, 相転移 |
産業利用キーワード
階層1 | 化学製品, 工業材料, その他 |
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階層2 | |
階層3 | |
階層4 | 格子定数, 結晶構造, 配向 |
階層5 | 回折 |
分類
A80.20 金属・構造材料, A80.30 無機材料, M10.20 粉末結晶回折
利用事例本文
SPEED-Mk.IIは、世界で初めて揺動機構を備えた大容量高圧プレス装置です。プレス装置はz軸周りに-5~9の範囲で揺動し、0.1/sの速度で揺動しながらエネルギー分散回折データを得ることができます。図は高温高圧下のNaClについて、揺動させた場合とさせなかった場合の回折パターンを比較したものです。揺動させた場合、B2相で最も強い(110)ピークを観察できましたが、揺動させなかった場合は観察できませんでした。この結果は、このプレスの揺動が、回折パターンに対するNaClの粒成長の影響を劇的に減少させていることを示しています。このプレス揺動機構を使うと、高温高圧下で試料の粒成長によって多くの回折ピークが見えなくなってしまう場合でも、高品質の回折パターンを得るこができます。
図 1150 K、24.5 GPaでのNaClについて揺動させた場合とさせなかった場合の回折パターンの比較
[ N. Nishyama, T. Katsura, K. Funakoshi, A. Kubo, T. Kubo, Y. Tange, Y. Sueda and S. Yokoshi, Physical Review B 68, 134109 (2003), Fig. 2,
©2003 American Physical Society ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
Phys. Rev. B, 68, 134109(2003)
図番号
2
測定手法
図は、川井型大容量高圧プレス装置を用いたときのエネルギー分散型X線回折の概略です。偏向電磁石からの白色X線は、垂直、水平スリットによって典型的に0.05(垂直) x 0.1(水平) mm2に絞られます。エネルギー分散型X線回折用に、第1段アンビルにはX線が通る穴が開けられおり、白色X線はそこから第1段アンビルを抜けて、第2段アンビル間の水平方向の隙間を通り抜けます。高温高圧試料からの回折X線は、4096個のマルチチャンネルアナライザーを持つ純ゲルマニウム半導体検出器(SSD)で検出されます。このとき、20~150 keVまでエネルギーの回折データを得ることができます。ある回折角で固定されたコリメーター(0.05 mm幅)と受光スリットを通すことで、試料からの回折X線のみが検出されます。水平ゴニオメータは、0.0001°の精度で-10から23°までの回折角2θを移動できます。このシステムでは、だいたい数分間で1つの回折線を得ることができます。
図 川井型大容量高圧プレス装置を用いたエネルギー分散型X線回折の概略図
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BL評価レポート
ページ
14
測定準備に必要なおおよその時間
1 日
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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SPEED-Mk.II | 高温高圧実験 | 2500 K、50 GPa |
参考文献
文献名 |
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Phys. Rev. B68, 134109(2003) |
Phys. Earth and Planet. Int., 143-144, 497(2004) |
関連する手法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
ユーザー持ち込み装置を使った
測定の難易度
中程度
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
4~9シフト