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BL25SU マイクロ集光角度分解光電子分光装置(ARPES)

問い合わせ番号

INS-0000000490

本ステーションでは、BL25SUのAブランチから供給される軟X線を用いた光電子分光を行っています。軟X線はウォルターミラーを用いてマイクロ集光された後、実験装置に提供されます。対象試料は固体試料で、基本的に超高真空下での測定となります。光電子分析器は、Scienta Omicron社のDA30です。この分析器の電子レンズにはディフレクター機能を有しているため、実験配置を変更することなく光電子放出角度分布を二次元的に測定することができます。光電子の取込角は±15°で、ディフレクターの角度範囲は±10°です。この装置では、光電子の放出強度を最大化するため、試料表面に対して放射光を5°以下の斜入射で入射します。この様な斜入射条件での、試料上での光スポットサイズは概ね10 µm × 10 µmです。本ステーションでは、以下の手法を使うことができます。それぞれの手法の長所と利用可能な条件を挙げます。

(1) 角度分解光電子分光(ARPES)
• バンド分散および二次元運動量等エネルギー面を観測
• 低エネルギー励起光(真空紫外光)を用いるARPESに比べてバルク敏感
• ディフレクター付き分析器(DA30)により、試料の角度を変えることなく等エネルギー面マッピングが測定可能
• 真空度: < 3×10-8 Pa
• 試料温度: 10 K - 300 K
• 試料準備: 劈開、セミラックヒーターを用いた真空加熱(≦600℃)
• カリウム金属蒸着による表面導通処理

(2) X線光電子分光 (XPS)
• 角度積分と角度分解測定が可能
• 真空度: < 3×10-8 Pa
• サンプル温度: 10 K - 300 K.

Fig. 1  光電子分光ステーション

Fig. 1 光電子分光ステーション

Fig. 2

Fig.2 [i] Si単結晶(111)表面の顕微鏡像。金属やすりを用いて表面を削ったことで現れた清浄面(A), 削れたものの粗い表面(B), 削れていない面(C)に対してマイクロ集光された軟X線を照射することで各箇所の電子状態を分析できる。[ii] 各測定位置(A-C)に対するSi 2p内殻スペクトル。表面が粗かったり、酸化していたりするとスペクトルがブロードになる。[iii]測定位置Aに対する等エネルギー面マッピング図。

最終変更日 2024-10-18 16:38
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