大型放射光施設 SPring-8

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BL39XU 10 T 超伝導マグネット

問い合わせ番号

INS-0000000531

10 T 超伝導マグネット

  BL39XUでは、強磁場下でのXMCD測定のために 10 T までの磁場を発生できる超伝導マグネットを装備しています。この装置によって同時に低温の実験も可能です。試料温度は2 K から 300 K の範囲で制御できます。
  図1に超伝導マグネットの模式図を、図2には回折計上に搭載されたマグネットの写真を示します。 磁場は水平方向に印加されます。スプリット型の超伝導コイルを採用しており、透過配置でのXMCD実験だけでなく、蛍光配置でのXMCD実験にも使用できる設計です。 コイルのボアの大きさは直径54 mm で、試料室は直径25 mmの円筒形です。 試料は長いロッドの先端に取り付けられ、マグネット上部のフランジからコイル中心 位置まで挿入されます。コイルの軸方向に前後2枚のX線窓 (ベリリウム製) を持ち、X線を入射するためあるいは透過X線を取り出すために使われます。窓の直径は 10 mm です。また、コイルの軸とは直角方向にも2枚の窓があります。これらの窓の直径は 20 mm で、試料からの蛍光X線や回折線を取り出すために使われます。このマグネットは液体ヘリウムを冷媒として用います。液体ヘリウムの再凝縮装置を備えているため、冷媒の補給なしに一週間以上の連続運転が可能です。
  2010年3月現在、この装置には再凝縮装置に起因する振動の問題があります。試料位置での振動の振幅は最大 ±30 µm であり、通常の常圧下XMCD実験に対しては十分な精度の信号を得ることができますが、試料サイズが小さくなる高圧下実験や信号強度が極端に小さくなる(< 10-4)ような実験では十分な質のデータを取るために通常よりも多くの積算時間が必要となります。このような条件下においても良質なデータを取得できるよう、振動を低減するための R&D に取り組んでいます。

  • 表1. 超伝導マグネットを用いたときの測定条件

     

    磁場 (T) 0 ∼ ±10
    試料温度 (K) 2 ∼ 300

     

    図1. 超伝導マグネットの模式図

    図2. 回折計上の超伝導マグネット

最終変更日 2024-07-02 16:05