利用研究例

生体組織内金属分布の解析

生体組織内の重金属の局在を非破壊的・定量的に観察できれば、重金属を含む物質の細胞内の代謝を形態的に分析できると期待されます。BL37XUではX線分光顕微鏡を使って、実験的に有害金属を投与されたラット組織の金属分布を測定する研究が行われています。図は塩化金(AuCl2)を腹腔内投与したラット腎組織内のAu分布です(黒い部分が高濃度)。Auは「金製剤」としてリウマチなどの治療薬として使われていますが、腎障害を起こす場合があることが知られています。X線分光顕微鏡により、投与された金が腎臓組織のどこに蓄積するのかが調べられています。


自動車関連粒子の化学種形態分析

大都市における大気中粒子状物質濃度に対する自動車の寄与率は大きく、削減計画作成のための正確な発生源データが必要とされています。大気中粒子状物質に含まれる元素の化学状態を知ることは、その起源を推定し、大気中での挙動を解明する上で重要です。BL37XUでは、X線分光顕微鏡を利用して粒径の異なる個々の粒子の蛍光X線分析(図(a)(b)(c))やXANES測定(図(d))により、微小粒子に含まれる元素の化学形態分析が行われています。これにより、粒径ごとの大気中粒子状物質の発生源が推測できます。


主な測定装置

  • 汎用蛍光X線分析装置…〜10μmの空間分解能での蛍光X線分析
  • X線分光顕微鏡…サブμmの空間分解能での蛍光X線分析
  • 斜入射蛍光X線分析装置…全反射法による超微量元素分析