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SPring-8利用者懇談会研究会 |
研究会の名称 ナノ・デバイス磁性研究会 / Magneto Spectroscopy for Nano-sized Devices 代表者、副代表者 代表者 副代表者 研究会の活動目標・目的 物質サイズをナノ・メートルオーダーまでスケールダウンすると、電子の局在化やスピン間の交換相互作用の変化に関連して、通常のサイズでは得られない興味深い磁性が得られる。バルク状態では反磁性や常磁性である金やパラジウムが、ナノ粒子では超常磁性や強磁性を示すのもその一例である。また、表面に1原子層以下で積層された磁性超薄膜では、基板や下地層となる物質の電子状態や原子配列の影響を受けつつ、その反対側は真空に開放されており磁気相互作用が非対称な状態であるため、磁気相転移温度や磁気異方性がバルクと異なる結果となる。このようなナノ磁性体は基礎的な磁性研究の観点から非常に興味深いものである。一方、最近では磁気記録はじめ新規スピントロニクス材料においても、1原子層以下の磁性物質による磁気結合制御やナノスケールでの創成技術によって達成されており、磁性層やその界面の磁気状態、さらに、微量に含まれる不純物磁性元素の役割を解明することが材料開発と平行して重要になっている。 近年、ナノ粒子やデバイス磁性材料の創成、開発が急速に進展するなかで、より高度な磁気プローブの必要性が高くなっている。特に、従来の磁気測定が適用できない場合や従来の手法の他に新規性の高い磁気プローブを加えた多角的な分析が不可欠な場合が多い。このようなナノ・デバイス磁性の発展と新しい磁気プローブに対する必要性を背景に、放射光の優れた偏光特性を活かしたX線磁気光学効果は極めて強力で直接的な磁気プローブとして活用されている。特に、X線磁気円二色性(XMCD: X-ray Magnetic Circular Dichroism)は元素選択的に磁気情報を取得できる上に、微量の磁性元素を非破壊で分析できる利点を有する。現在、SPring-8にはBL25SU、BL39XUにおいて、それぞれ、高精度の軟X線MCDと硬X線MCD実験が行える装置が整備されており、SPring-8は本研究会分野の拠点として最も相応しくその役割を担うものと期待される。このような状況を踏まえて、ナノ物質の磁性研究およびデバイス磁性研究をSPring-8の放射光をもって推進することを目的として本研究会を組織する。 (1) 1原子層以下で積層された磁性超薄膜の磁気モーメントや磁気異方性の研究 本研究会は、放射光を用いたナノ磁性材料および磁気デバイス材料の磁性研究に携わる研究者および大学院学生で構成される。研究会では情報交換・研究協力を促進し、SPring-8を利用した研究成果の質・量の向上を図ることを活動目的とする。さらに、新規ユーザーの開拓、測定装置に関する提言、装置の高度化に必要な資金の獲得、研究会の開催、関連学会等での情報発信を行っていく。 |