SPring-8利用者懇談会研究会

研究会の名称

ナノ組織高温損傷評価研究会 / Explication of the Mechanism of Materials Damage at High Temperature in Nano Scale

代表者、副代表者

代表者
氏名 庄子 哲雄 / Tetsuo Shoji
所属 東北大学 理事 / Tohoku University
連絡先 tshoji( at )rift.mech.tohoku.ac.jp

副代表者
氏名 渡邉 真史 / Masashi Watanabe
所属 東北大学 多元物質科学研究所 / Institute of multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University
連絡先 m-wata( at )tagen.tohoku.ac.jp

研究会の活動目標・目的

 21世紀の人類社会の維持発展には、地球環境保護対策やクリーンエネルギーシステムの開発、高度情報化通信社会を支える様々なデバイス、機器の開発、あるいは医療福祉、介護支援技術の開発などが不可欠であり、工学の果たすべき役割は一層重要なものになっている。また、新技術の開発に加えて、既存の経年機器の維持運営あるいは延命化も、限りある資源の有効活用という観点からは避けて通れない。したがって、安全や安心な社会基盤を構築するためには、最新鋭の機器開発においては性能やコストと同時に信頼性の創り込み(Built-In Reliability)が重要な課題となり、経年機器の維持運営においては、損傷の非破壊評価あるいはモニタリング技術と修復技術の開発が重要になるものと考えられる。様々な構造材料や新機能材料の性能や信頼性は、材料を構成する元素の配列とその安定性で決定されている。したがって工学における材料設計とは、所望の性能や信頼性を実現する元素の配列規則を決定すること、及びその配列規則を乱す欠陥や不純物あるいは環境因子などを定量的に解明し、その制御方法を確立すること、と言っても過言ではない。

そこで本研究会では、大型機器構造物を含む機械システムの破壊メカニズムや強度発現機構のナノレベルでの解明を通して未来機械産業の基盤を構築すると共に、社会の安全と信頼性向上へ貢献することを目的とし、特にエネルギー機器に使用される構造材料の破壊あるいは損傷過程のクライテリアをナノ組織内部の応力・ひずみ解析と結晶構造あるいは組成のゆらぎ、変動解析を通して解明するとともに、安全で安心な社会構築の基盤である高信頼次世代エネルギーシステム用構造材料の設計指針の確立を目指す。具体的な研究成果目標は、原子力(軽水炉)用材料の応力腐食割れ対策システムの開発である。

 ナノ領域における本質的な物理化学事象を単に機械工学的な視点で捉えるのではなく、原子の結合状態の変化とそれを引き起こす電磁気的あるいは化学的相互作用の視点を加えて量子力学的に整理することで、従来からその対応に苦慮してきた個体ばらつきあるいは時空間分布の発現メカニズムを解明し、その制御方法を確立することにある。従来大型構造物の設計において当然のように使用されてきた安全率を安心して1.0に向け極小化することで社会的な安全と安心を経済的な負担を軽減しながら実現することが可能となる。統一テーマとして界面/表面の健全性評価の基盤計測技術の開発を目指し、関連する国際共同研究とも連携して研究会を運営する。


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