第23回SPring-8夏の学校
校長からのメッセージ
「放射光」が使われ始めたのはおよそ50年前ですが、今では、物質・材料の分析ツールとして幅広く使えるようになってきました。多くの研究者・技術者の利用機会が増え、また、使いやすくなり、現在では、大学や研究機関での研究から、企業での製品開発、不良解析にまで放射光利用の対象がひろがっています。では、何故、SPring-8のような大規模な施設をつくって放射光を使うかご存知ですか? それは放射光でしか得られない情報があるからです。しかし、利用者でもその理由を丁寧に説明できる人はそれほど多くないかもしれません。
放射光の利用研究環境が充実したといっても利用機会は限られます。そのため、実験課題としてSPring-8で放射光利用研究をする場合には、必要な情報を得ること(目的の実験結果を出すこと)に集中せざるを得ず、実験中にその実験自体の理解を深めたり、周辺の基盤技術を学ぶ機会に恵まれなかったりするのが実情です。SPring-8夏の学校では、精密な実験データを取得するだけでなく、放射光実験の奥深さを体感してもらうことを目的としています。皆さんがSPring-8夏の学校を修了されたあかつきには、上記の質問に自信をもって答えられるようになると思います。
SPring-8夏の学校のもう一つのメリットは、通常の実験ではなかなかできない異分野の研究や様々な放射光利用研究に触れる機会に恵まれることです。放射光施設は、当然のことながら、高品質な放射光を提供する施設です。このため、放射光の使い方によって得られる情報も異なり、様々な分析が可能です。隣の実験ステーション(ビームライン)では、全く異なる対象(試料)に対して、全く異なる実験手法を用いて、全く異なる情報を得ていることが多いのです。将来、皆さんが大学や企業で新しい研究開発に携わるようになった時、幅広い放射光利用研究の経験はきっと役に立つことでしょう。
コロナ禍以前のSPring-8夏の学校では、プログラム外で親睦を深める機会が豊富でした。全国から集まる所属、年齢、分野の違う受講生・研究者が交流することで、互いに刺激しあい、将来のネットワークづくりにも役立っていました。コロナ禍の中で4回目のSPring-8夏の学校では、これまでのwithコロナの経験を生かして、安全を確保しながら人とどのように交流するかも学びながら、このご時世ならではのネットワークづくりをしてもらいたいと願っています。
様々な分野の若きリーダーとして多くの学生諸君の入校を期待しています。
第23回SPring-8夏の学校 校長
関西学院大学 工学部 教授
藤原明比古
SPring-8夏の学校とは何か?
SPring-8は世界トップレベルの高輝度X線が利用できる大型放射光施設です。SPring-8では、物質科学・エネルギー科学・生命科学・環境科学・素粒子物理などの幅広い研究活動が行われており、基礎科学から産業応用にまで至る多くの分野で成果が生み出されています。 また、キャンパス内ではX線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAも稼働しており、最先端の研究が行われています。
『SPring-8夏の学校』は、大学院修士(博士前期)課程の学生を対象に、次世代の放射光利用研究者の発掘と育成を目的として2001年より毎年開校され、今年で23回目となります。SPring-8で活躍する最前線の研究者による講義と実習を組み合わせて行うことにより、放射光の原理と利用研究の基礎を学ぶと共に、放射光を使う実習によって最先端の実験を体験し、またSACLAについても学ぶことができるようカリキュラムが準備されています。
概要
主催: | 兵庫県立大学理学部・大学院理学研究科、関西学院大学理学部・工学部・生命環境学部・大学院理工学研究科、岡山大学、大阪大学光科学連携センター・蛋白質研究所・核物理研究センター、茨城大学大学院理工学研究科、理化学研究所 放射光科学研究センター、日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター、量子科学技術研究開発機構 関西光量子科学研究所、(公財)高輝度光科学研究センター(JASRI) |
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後援: | SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)、ひょうご科学技術協会 |
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開催日程: | 2023年7月9日(日)- 12日(水) スケジュール |
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開催場所: | 大型放射光施設SPring-8 〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1 (播磨科学公園都市) http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/access/ |
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カリキュラム概要: | 講義概要(7科目) 実習概要(28本のビームライン実習の内2科目選択) |
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レポート提出: | 夏の学校終了後に講義7科目の内2科目、実習2科目の内1科目、合計3科目を選択してレポートを提出して頂きます。 |
チラシ(PDF) |
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参加費: | 無料(但し宿泊費・交通費・食費は自己負担) |
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定員: | 80名程度 定員以上の申し込みがあった場合、登録内容をもとに選考させていただきます。 |
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参加対象: | ■ 大学院修士(博士前期)課程の学生 (人数に余裕があれば学部4年生等も受け入れます) ■ 所属大学で放射線業務従事者として教育を受け、登録されていること ■ 主催大学の推薦枠あり*以下参照 |
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参加登録: | 参加登録は締め切りました。
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参加登録 受付期間: | 2023年4月10日(月) 〜 5月15日(月)まで 参加登録は締め切りました。 選考結果はご登録頂いたe-mail宛に通知させて頂きます。ご不明な方は下記事務局までご連絡下さい。 |
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新型コロナウィルス 対策について: |
①参加の可否については、開催時点でのSPring-8利用者の来所の可否と同じ基準で判断いたします。 ②安全対策(感染拡大防止)については、開催時点でのSPring-8利用実験における新型コロナウイルス対策に準ずることとします。 ※新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、開催を中止する可能性があります。あらかじめご了承ください。 |
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参加についての注意点: | *** 参加に際しては必ず所属研究室の教官の許可を得てください *** ①夏の学校ビームライン実習に参加するためには、所属機関(大学)の放射線業務従事者であることが必須です。そのため、予め所属機関において放射線業務従事者の登録をお願いします。(放射線従事者登録に必要な安全教育等につきましては、それぞれの所属機関担当部署にご確認ください) SPring-8来所時には、所属機関の放射線業務従事登録者であることを確認するために、所属機関の個人被ばく線量計をご持参いただく必要がありますので、必ず事前にご準備ください。 ②夏の学校開催期間中の怪我の補償、対人賠償・対物賠償等に備え、参加者は所属大学において「学生教育研究災害傷害保険」および「学研災付帯賠償責任保険」、 または これらと同等の保険に加入していることが必須です。詳細につきましては、在学中の大学窓口でご確認ください。 ③夏の学校開催期間中、SPring-8内の宿舎を利用していただくことが可能です。参加登録の際にお選びください。遠方からお越しの場合は開校日前日からの宿泊をお勧めします。 <ご利用料金> シングル:(2,000円/日) |
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*主催大学の推薦について: | 主催大学からの推薦については各大学の下記担当教官にお問い合わせください。
兵庫県立大学 理学研究科、理学部4年生(大講座横断プログラムを履修する場合に限る)(科目名:放射光特別実習)、関西学院大学 大学院理工学研究科(科目名:物理学特殊講義IV)、岡山大学 大学院自然科学研究科(科目名:放射光科学実習)、茨城大学 大学院理工学研究科では、スクール終了後に提出されたレポートを履修単位として認定する際の採点対象とします。詳しくは各大学の担当教官にお問い合わせください。 |
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受講証明書: | 校長名での受講証明書の発行が可能です。必要な方は事務局までお申し出ください。 |
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参加者の声: | 第22回(2022年度)の参加者アンケートより |
SPring-8秋の学校について
日程や放射線業務従事者登録に問題があってSPring-8夏の学校の参加が困難な方は、SPring-8秋の学校(9月開催予定)への参加についてもご検討下さい。
7月頃に参加募集を開始する予定です。昨年のSPring-8秋の学校開催要領は以下のようになっています。
第6回SPring-8秋の学校2022
http://www.spring8.or.jp/ja/science/meetings/seminar/sp8autumn_school/as2022/
問い合わせ先
SPring-8夏の学校事務局 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 辻本・青木・西村 |
e-mail:2023summerschool@spring8.or.jp |
TEL: 0791-58-2785, FAX: 0791-58-2786 |
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